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流産胎児の染色体検査について

妊娠の喜びから一転、流産の宣告は本当に辛いものです。なぜ?何が悪かったのだろう?原因は?と考えることでしょう。こんなとき、血液検査を行ってもその流産の原因が分かることはほとんどありませんが、胎児(絨毛)の染色体が調べられれば原因が分かることがあります。ここで原因を調べておくことは、次の妊娠成功に向けて検査や治療の計画を立てる上で大切な情報を得ることができるため、われわれ不育症の専門家はできる限り染色体の検査をするよう勧めています。

胎児の染色体を調べるには、無菌的に子宮内容を取り出し適切な状態で検査センターに送る必要があります。このためには流産手術が必要になります。したがって、流産組織が下着の中に下りてしまったり自宅のトイレに落ちてしまったりした場合には、例え拾い上げて病院に持ってきても染色体の検査はできないのです。

ところが最近、まったく新しい遺伝子解析法を用いて染色体の検査ができるようになりました。次世代シークエンサー(NGS)といって、遺伝子の配列を高速にかつ大量に読み出す装置を用いる方法です。この方法では、自宅で流産してしまった場合でも、流産組織を病院に持って行けば染色体検査が可能になります。

流産しただけでも辛いのに、さらに流産手術を受けるとなると身体的にも精神的にも大きな苦痛を味わうことになります。多くの場合、流産と診断されてから長くても2、3週間で自然排出されますので、出てくるのを待つ「自然待機療法」を選択することは可能です。流産手術を複数回受けた方の中には、子宮内膜にこれ以上傷を付けたくないと「自然待機療法」を選択する場合も少なくありません。従来こうしたケースでは胎児の染色体検査ができないので、やむなく流産手術を受けるか自然待機をして染色体検査を諦めるかの2択でしたが、NGS流産胎児染色体検査の導入により手術をしないで染色体検査が可能になりました。

NGS流産胎児染色体検査の流れ

当院ではNGS流産胎児染色体検査を予め予定している方には、組織を入れるためのジッパー付きの袋をお渡ししています。入れる容器は特別なものが必要というわけではなく、きれいなビニール袋やタッパウェアのような容器で結構です。

半日ほどで竹下レディスクリニックまで持参できるようであれば冷蔵で、それ以上時間がかかる場合は冷凍保存して下さい。

10日から2週間ほどで結果が分かります。

 

検査料金:66,000円(+税)

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