次のようなケースでは
当クリニックでの検査を
お勧めします
- 流産を繰り返しお子さんがいない場合
- お子さんはいるが複数回の流産を経験している場合
- 妊娠10週以降の流産・死産を(1度でも)経験した場合
- 過去に重症妊娠高血圧症候群や低出生体重児出産の既往がある場合
- 生化学的妊娠(化学流産)を繰り返す場合
- 前回が流産に終わり2回目の妊娠である今回の妊娠初期に特に慎重な対応が必要な場合
- 他院で不育症の検査を行ったが結果の詳しい説明を聞きたい場合(セカンドオピニオン)
- 他院で治療方針が決まったがセカンドオピニオンを聴きたい場合(セカンドオピニオン)
- 不妊治療を受けているがいざ妊娠したときに不安がある場合
- その他流産の経験はないが次の妊娠に不安を覚える場合
(膠原病・血栓症などの内科的持病がある、子宮筋腫や子宮腺筋症などを指摘されている場合など)
検査を受けるタイミング
不育症の検査は早い方がよいという考えがありますが、流産直後では妊娠の影響が残っており検査結果が本来の体の状態を反映しないときがあります。特に、ホルモン関係の検査、血液凝固系検査は妊娠の影響を受けやすいといわれます。そこで、流産後月経が来た時点で来院していただくのが適切なタイミングとなります。
ただし、不妊治療を受けている方などでは、次回の治療との兼ね合いでそれより前に計画を立てる必要がある場合もありますので、早い段階でご相談に来ていただければと思います。
当クリニックで行なう検査の種類
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Inspection.01抗リン脂質抗体検査
抗リン脂質抗体症候群の分類(診断)基準によると、ループス・アンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体IgG、抗カルジオリピン抗体IgM、抗CL・β2GPI抗体が非常に高い抗体価(99パーセンタイル値)を示した場合、12週間後に再検して同様の結果が出て初めて抗リン脂質抗体症候群と診断されます。すなわち、抗リン脂質抗体症候群の診断は1回の検査だけでは不十分で再検が必要です。
12週間待っている間に妊娠した場合などは相談して下さい。初回の抗体価や他の検査結果をみて治療の要否を総合的に判断します。検査項目 - ループス・アンチコアグラント(dRVVT)
- ループス・アンチコアグラント(APTT法)*
- ループス・アンチコアグラント(リン脂質中和法)
- 抗カルジオリピン抗体IgG
- 抗カルジオリピン抗体IgM
- 抗CL・β2GPI抗体
- 抗β2GPI抗体IgG
- 抗β2GPI抗体IgM
- 抗フォスファチジルエタノラミン(PE)抗体IgG*
- 抗フォスファチジルエタノラミン(PE)抗体IgM*
- 抗プロトロンビン(PS/PT)抗体*
- β2GPIネオセルフ抗体*(新検査項目:詳細はブログ参照)
※*は保険未収載
検査方法 血液検査 検査結果が出るまで 採血後7~15日で結果が判明します。 料金 *保険適用検査でも組み合わせによって同時算定出来ないものがあるため一部自費検査になります。
自費検査の合計は平均的な項目数を検査した場合、約46,000〜46,500円(自費検査静脈採血・判断料込み)になります。
注意事項 - 抗リン脂質抗体が非常に高い抗体価(99パーセンタイル値)を示した場合、12週間後に再検して同様の結果が出て初めて抗リン脂質抗体症候群と診断されます。すなわち、抗リン脂質抗体症候群の診断は1回の検査だけでは不十分で再検が必要です。
- 12週間待っている間に妊娠した場合などは相談して下さい。初回の抗体価や他の検査結果をみて治療の要否を総合的に判断します。
- *は保険未収載のため自費になります。
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Inspection.02子宮形態検査
先天性子宮形態異常(子宮奇形)の診断には、3D超音波検査がもっとも診断精度が高く、各種ガイドラインでも強く推奨されています。かつては子宮卵管造影を用いていましたが、放射線被曝の問題や造影剤(ヨード剤)の甲状腺機能への影響などを考慮し、子宮奇形の診断だけのために子宮卵管造影を行うことは少なくなりました。
ただし、不妊症の検査を兼ねて卵管通過性をみる場合は子宮卵管造影が必要です。3D超音波検査は月経前が最も診やすいとされていますが、月経中や月経直後でも診断は可能です。検査方法 - 3D超音波検査
- 子宮卵管造影*
- MRI*
- 子宮鏡検査*
*当院では行っていません。必要がある場合は他院に紹介させていただきます。
料金 保険適用 注意事項 - 3D超音波検査は月経前が最も診やすいとされていますが、月経中や月経直後でも診断は可能です。
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Inspection.03染色体検査
染色体検査は血液検査です。ご夫婦同時に検査を行い、検査結果が出たらご夫婦同席でお話しをします。不育症での染色体異常は、ご夫婦どちらの異常であるかを特定する意味はなく、特に必要な場合を除いてどちらの異常であるかは明らかにしません。
検査方法 血液検査(染色体Gバンド法) 検査結果が出るまで 約3週間 料金 保険適用
自費検査として行った場合:35,000円注意事項 - 上記の如く特別な場合を除いてご夫婦同日に採血します。
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Inspection.04内分泌代謝検査
内分泌検査とはホルモン検査のことです。糖尿病の有無をみるため血糖値、HbA1cの検査を行いますが、できれば空腹時の状態をみますので食後2時間以上経ってから採血します。
検査項目 - TSH
- fT4
- fT3
- 抗TPO抗体
- プロラクチン
- 血糖値
- HbA1c
検査方法 血液検査 検査結果が出るまで 約1週間 料金 保険適用 注意事項 - 糖尿病の有無をみるため血糖値、HbA1cの検査を行いますが、できれば空腹時の状態をみますので食後2時間以上経ってから採血します。
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Inspection.05血液凝固系検査
血液凝固系検査は妊娠の影響を受けやすく、流産直後では本来の体の状態を反映しない場合があります。診察の結果、検査の時期を後日にずらすことがあります。
検査項目 - 第XII因子凝固活性
- プロテインS抗原量
- プロテインS活性
- プロテインS比活性
- プロテインC抗原量
- プロテインC活性
- PT
- APTT
- フィブリノゲン
- アンチトロンビン
検査方法 血液検査 検査結果が出るまで 7〜10日 料金 保険適用 注意事項 - 血液凝固系検査は妊娠の影響を受けやすく、流産直後では本来の体の状態を反映しない場合があります。したがって、流産後いつも通りの月経が確認できてから採血をします(身体に妊娠の影響が残っていなければいつでも検査可能です)。
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Inspection.06NGS流産胎児(絨毛)染色体検査
流産時にその原因を調べる方法のひとつが胎児(絨毛)の染色体検査です。この検査は、今後の検査計画や治療方針を決める上で極めて重要なものです。
胎児の染色体検査を行なうには、胎児あるいは絨毛(将来胎盤になる組織)を無菌的に取り出し、母体の血液からより分けて迅速に検査センターに送る必要があります。そのためには通常子宮内容除去術(流産手術*)を行わなければなりません。
最近、まったく新しい遺伝子解析法を用いて染色体の検査ができるようになりました。次世代シークエンサー(NGS)といって、遺伝子の配列を高速にかつ大量に読み出す装置を用いる方法です。この方法では、必ずしも流産手術は必要でなく、自然排出された検体でも検査が可能です。再度NGS法の利点をまとめると次のようになります。
1.自然排出検体でも検査が可能(トイレに落ちてしまった組織でも検査が出来ます)
2.流産手術の必要がない
3.流産してから時間が経っても検査が可能NGS流産胎児(絨毛)染色体検査を受けるには
- 当院ではNGS流産胎児染色体検査を予め予定している方には、組織を入れるためのジッパー付きの袋をお渡ししています。入れる容器は特別なものが必要というわけではなく、清潔なビニール袋やタッパウェアのような容器で結構です。
- 万が一ショーツに下りてしまった、トイレに落ちてしまったような場合でも、何らかの方法で拾い上げ、容器に入れて冷蔵保存して下さい。
- 流産組織には、胎児側の組織(絨毛(写真)、胎児)と母体側の組織(子宮内膜が妊娠性の変化を起こした脱落膜)、血液(凝血塊)が混在しています。胎児側の組織をより分けることは専門家でも難しい場合がありますので、すべて回収して持参して下さい。典型的な絨毛組織の写真を右に示します。
- 流産組織はなるべく早く竹下レディスクリニックにご持参下さい。半日以内に持参できる場合は冷蔵保存で結構ですが、それ以上かかる場合は冷凍保存しておいて下さい。
- 持参した組織中に胎児側の組織がない場合は検査ができません。
- 結果は10日〜14日後にわかります。
*当院では流産手術を行っていませんので従来法(Gバンド法)での検査は出来ません。
*初診の場合は通常の診察枠とは別枠で受け付け致しますので、お電話でご予約をお願い致します。
検査項目 NGS流産胎児(絨毛)染色体検査 検査方法 流産組織(胎児、絨毛)の遺伝子解析 結果が出るまで 10日〜14日後 料金 72,600円(自費初診料または再診療が加算されます) -
Inspection.07男性因子の検査ー精子DNA断片化指数(DFI)検査
不育症の原因は多岐にわたりますが、現在不育症との因果関係がはっきりしている原因(リスク因子)はほとんどが女性(母体)側の因子で、男性に対する不育症検査は染色体検査しか行われていないのが現状です。しかし、最近精子のDNA断片化など、男性因子の不育症への関与が報告されるようになってきました。
精子DNA断片化指数(DFI)検査について
精子DFI検査とは、精液検査では反映されない精子の質(DNA の状態)を評価する検査で、精液中の精子DNAに損傷のある精子の割合がわかります。これまでの研究でDFI高値と不育症は関連性が高いとの報告がなされています1)。そのため、米国泌尿器科学会/米国生殖医学会のガイドラインでは不育症カップルの男性に本検査が推奨されています2)。また、最近出されたヨーロッパ生殖学会(ESHRE)の不育症ガイドラインでは条件付きで検査を推奨し、英国産婦人科学会グリーントップガイドラインでもDFIの悪化と不育症の関連が指摘されています。
1)Fertil Steril 2019; 112: 54
2)Fertil Steril 2021; 115: 54どのようなケースで検査が勧められるか?
DFI検査は男性不妊のために開発された検査です。したがって、不妊治療後に流産を繰り返しているカップルの男性には特に勧められる検査となります。また、不育症の系統的検査を行っても女性側の原因が特定できない場合もDFI検査の対象となります。
検査項目 精子DNA断片化指数(DFI)検査 検査方法 精液検査 検査結果が出るまで 1〜2週間 料金 16,500円
当クリニックは不育症検査助成事業の対象クリニックです
当クリニックは助成事業対象クリニックです。
助成事業の詳細は各自治体によって異なりますので、詳しくはご相談ください。