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コロナ後遺症に不育症?-は杞憂

2021年11月17日のブログで「コロナ後遺症に不育症?」の懸念があると書きました。それは、新型コロナウィルスに感染すると高率に抗リン脂質抗体が産生され、抗リン脂質抗体は不育症のリスク因子となるからです。

そこで、当クリニックを受診して抗リン脂質抗体検査を行った不育症患者さんを対象として、コロナ感染歴と抗リン脂質抗体の陽性率を調べて見ました。また、同時にコロナワクチンとの関係も調べました。

調査は326名を対象として行われ、コロナ感染歴がある方は39.6%でした。何らかの抗リン脂質抗体(ループス・アンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗β2GPI抗体、抗PE抗体、抗プロトロンビン抗体)が検出された患者さんは、感染歴あり:24.8%、感染歴なし:30.5%で、統計学的に意味のある差異は認められませんでした。

また、コロナワクチン接種歴の有無でも、抗リン脂質抗体の陽性率に差はありませんでした。ちなみに、ワクチン接種歴がない方は10.4%しかいなかったため、3回以上接種と3回未満でも比べてみましたがやはり差はありませんでした。

以上より、新型コロナウィルス感染、およびワクチン接種によって抗リン脂質抗体陽性率が上がるという現象は確認できませんでした。

今回調査の対象としたのは、新型コロナ感染歴があってもいずれも軽症で後遺症もほとんどない方ばかりでした。外国から報告された抗リン脂質抗体陽性者の増加は、いずれも入院患者さんなど重症例で観察されたもので、軽症例では抗リン脂質抗体産生が惹起される可能性は低いと考えられました。

「コロナ後遺症に不育症?」という懸念は払拭されたとして良いと思います。

今回調査の結果は、7月15日に開かれた第5回日本不育症学会学術集会、ならびに7月28日の第41回日本受精着床学会で発表させていただきました。

調査にご協力いただいた方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

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