精子DNA断片化指数(DFI)検査 について
不育症の原因は多岐にわたりますが、現在不育症との因果関係がはっきりしている原因(リスク因子)はほとんどが女性(母体)側の因子で、男性に対する不育症検査は染色体検査しか行われていないのが現状です。しかし、最近精子のDNA断片化など、男性因子の不育症への関与が報告されるようになってきました。
精子DNA断片化指数(DFI)検査について
精子DFI検査とは、精液検査では反映されない精子の質(DNA の状態)を評価する検査で、精液中の精子DNAに損傷のある精子の割合がわかります。これまでの研究でDFI高値と不育症は関連性が高いとの報告がなされています1)。そのため、米国泌尿器科学会/米国生殖医学会のガイドラインでは不育症カップルの男性に本検査が推奨されています2)。また、最近出されたヨーロッパ生殖学会(ESHRE)の不育症ガイドラインでは条件付きで検査を推奨し、英国産婦人科学会グリーントップガイドラインでもDFIの悪化と不育症の関連が指摘されています。
1)Fertil Steril 2019; 112: 54
2)Fertil Steril 2021; 115: 54
どのようなケースで検査が勧められるか?
DFI検査は男性不妊のために開発された検査です。したがって、不妊治療後に流産を繰り返しているカップルの男性には特に勧められる検査となります。また、不育症の系統的検査を行っても女性側の原因が特定できない場合もDFI検査の対象となります。